46号掲載 人を生かし、風土を生かす家づくり 青森編
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青森県南部の八戸市と三戸郡をあわせて三八地方と呼ぶ。旧南部藩領で、文化的には岩手県との結びつきが深い地域だ。青森といえばヒバが有名だが、ヒバの森が多いのは下北半島で、三八地方ではあちこちにアカマツの森が見られる。  10月上旬の澄んだ青空のもと、三戸郡南部町にある田中林業の山を訪ねた。広さは175町歩。遠目には山というよりなだらかな丘で、周囲にはリンゴ畑が点在する。江戸時代から代々受け継がれてきたという山は現在、杉、アカマツ、広葉樹がそれぞれ3分の1ずつ混じった混交林になっている。「岩手県北部からこのあたり一帯は、昭和30年代まで薪炭生産が盛んで、広葉樹の森が今なお多く残っています」と説明してくれたのは、田中林業九代目社長の田中裕さんだ。「一般的に広葉樹は杉檜より高価で、ヒバは檜の倍、クリはヒバの倍と言われます。広葉樹とアカマツは天然更新で、種木を残しておけば自然に再生します。杉は戦前に植えられた80〜120年生が主ですが、10年前に必要な植林を終えたので、向こう40年くらいは択伐し

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