雑誌「チルチンびと」別冊30号掲載 山梨県 ㈲髙橋建築舎
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3ページ 「パソコンで3Dシミュレーションしていたので想像はできていたのですが、竣工して初めてこのリビングに入ったときには二人で『わあっ』と声をあげました」とご主人が言う。白い塗り壁にどっしりと組み上げられた柱と梁、キッチン上部のメーンの梁は成33センチ。柱もそれぞれ7寸と、とにかくダイナミックで、その間に1本の柱もなく開放的な空間が広がる。大きく開いた窓からは、真っ青に澄んだ冬の空に、雪を抱いた凛々しい八ヶ岳がきらめいて見え、心に沁みた。 K邸はティンバーフレーム工法という、中世ヨーロッパで生まれアメリカで育った古典的な様式でつくられている。そのせいか、日本の木の家に似ているようでどこか洒落た雰囲気が漂う。在来工法の3倍近く木を使い、基本の構造が骨太なので、見た目にも安定感がある。 南の窓側は「子どもエリア」で、壁の端から端まで続く、ご主人の手製の細長いカウンターが造り付けられている。ものすごくすっきりしていて「子ども」の存在を感じないほどだが、引き戸を引くと小5のお子さんの学習道具からおもちゃまでびっしり。なるほど……とそのアイデアに感銘を受けた。子どもは小さいうちは個室にこもらせず母の目の届くところで、しかもリビング空間はすっきりと。そんな欲張りな願いを一挙に解決する間取りである。実は当初はここを子供室として仕切る予定だったが、勉強を重ねてきたご主人が「子供室」から「子どもエリア」への変更を依頼した

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