雑誌「チルチンびと」別冊11号掲載 新潟県 ノモトホームズ 株式会社 野本建設
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13173伊藤さんは泉さんのもとで現場を担当していた。その縁で野本さんは伊藤さんに品田邸の設計を依頼し、伊藤さんも野本さんの理想の実現に協力することにした。 二人の志は高い。ゆくゆくは、「地盤改良、照明器具、多少の造り付け家具、薪ストーブを含めて、消費税込み坪60万円前後」で、品田邸のような家を年間30棟つくれるようになりたいという。 さらに、自然素材の使い方や選び方も吟味したいという。たとえば品田邸の塗り壁材は泉さんがオリジナルで開発したもの。「市場には、企業の利益確保のためだけに商品化された自然素材もあります。それを見極めて、本来の目的に沿った材料を選ぶか、なければオリジナルで開発しようと思っています」と伊藤さん。 品田邸は、両者の目標を具体的な形にした家といえるだろう。 品田邸に使われたのは、山さん北ぽく町の杉。山形との県境近くの町で育った木だ。構造材だけでなく、建具などの造作材も山北杉である。ダイニングの吹き抜けには、その山北杉を太鼓挽きにした梁がどーんと2本。「山北杉は赤みが強いのですが、この梁は家の見せ場となるものだから、節がなくて赤みが薄く、末口(丸太の細いほうの直径)が1尺あるものを選んだんですよ」と野本さんが言う。「どの向県産の山北杉を随所にバランスよく4564居間の両隣の和室は、夫妻の親御さんが将来一緒に住むことになったときのため。「最終的に和室が二つ必要と決まり、部屋数が多くなったので、家の中心となる場所をつくろうとプランを考えました」と伊藤さん。5上り下りしやすい階段。太鼓挽きの梁が目の高さで見えて迫力がある。6杉の艶やかさを照明が浮かび上がらせる。7この日は、隆昭さんの妹にあたる青﨑さん一家が新潟市内から遊びに来ていた。和葉ちゃんと従姉妹の真優ちゃんは同い年で、もうすぐ3歳。家の中をよく走り回って元気だ。

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