雑誌「チルチンびと」別冊11号掲載 新潟県 ノモトホームズ 株式会社 野本建設
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130 まもなく稲刈りが始まるという時季、米どころ新潟では、黄金色の美しい田園風景があちらこちらに広がる。この日訪れた品田邸のある新発田市も同様だ。 JRの駅から車で10分ほど、今にもはじけそうに、たわわに実る稲穂に見とれていると、力強く軒が張り出す1軒の家に到着。玄関前で、ご主人の隆昭さんと奥さまの真理子さん、お嬢さんの和かず葉はちゃんが待っていてくれた。 さっそく中にお邪魔した。木の質感と漆喰壁のやわらかな風合いから、家全体が伸びやかに感じられて、心地いい。 県の職員として林業関係の仕事をする隆昭さんは、家を建てるなら、ぜひとも県産材を使いたいと考えていた。それが叶う工務店や設計事務所を探して2社に絞りこみ、プランが気に入って野本建設に決めた。「広々としながら、動線がコンパクトなのがよかった」という。 この家を設計したのは、建築家の伊藤誠康さんだ。東京で設計事務所を営む一方、週1回は新潟に出向く。「建設会社と建築家が継続的にかかわりながら、理念ある建物をスタンダードとしてつくっていけないか、と考えているのです」と伊藤さん。「県産材など地場の材料を使って、地域に経済的な潤いを還元し、その土地の文化を守り、気候風土に合った建物をつくって、町並みの美しさを保つ。それが自然にできることが、理想の『地域主義工務店』だと、社長の野本一隆さんと意見が合いました」 野本さんは『チルチンびと「地域主義工務店」の会』に加わって以来、理想の工務店のあり方を追求するようになった。初めは県産材や自然素材を必ず使う家づくりから始め、次第にデザインやディテールの処理を高めていく必要を感じるようになったという。 昨春、建築家の泉幸甫さんの設計で、新潟市内にコンセプトハウスをオープン。1理想の家づくりを形にした1リビングの障子を開けると、黄金色の田んぼが広がる。心が洗われるような景色だ。「網戸越しにやって来た蛙に、こんにちはって子どもが自然に挨拶しています」。市街化調整区域なので、目の前に家が建つ心配はないという。2休日の朝ごはんは、青森ヒバのウッドデッキで食べることもしばしば。ピクニック気分を味わえるとか。3外壁は杉板にオスモカラーを塗装。32

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