雑誌「チルチンびと」神奈川版②掲載 神奈川県 ㈱ワイズ
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庭を囲むように生活空間がのびやかに広がる。 入居して半年足らず。日々の過ごし方も変わったと奥さんが笑顔になった。 「3人の子どもたちは、かくれんぼをよくするようになって。裏の勝手口から出て表に回ったり、1階も2階も庭もすべて遊び場なんですよ(笑)」。 一方、ご主人は足を踏み入れた瞬間、屋内の空気がカラッとしていると感じ、材料の選択と工法がうまく噛み合っていることがイメージできたという。3点とも/2階。バルコニーは屋根付きで部屋の延長のような空間。日差しが壁に当たって反射し室内を照らす。ホールはいずれ一部を仕切り次男の部屋にする予定。寝室は和室。隅にご主人の書斎コーナーがある。右/次男は柱を登るのが得意。 中/玄関。ケヤキの古材がアクセントに。 左/玄関ホールはゆったりしたつくり。壁の一面は和紙貼りの収納だ。 なお、同社が得意とする木摺漆喰とはパネル状の杉板の上に砂漆喰を塗って壁の下地をつくる、古くからの工法。「壁面強度が増すだけでなく壁を通して屋内の湿気を外へ逃がす『透湿性』にもすぐれています」と、山本さんは胸を張る。海風が強く湿度のコントロールが欠かせない湘南の気候を熟知した同社らしい手法といえるだろう。 木は、埼玉県の山から直に仕入れる西川材。国産の天然乾燥材へのこだわりに応えてくれる、近場の材だ。柱は檜、梁は杉。床も杉を張った。 先述した通りS邸は敷地が長いが、周囲の家との間もかなり空いており、風が抜けるのも特色。それが開放感をいっそう増しているのは間違いない。「この家は家族一人ひとりが居心地のいい場所を見つけられる。リビングは皆で集まる場だけど、子どもがバルコニーで読書したり、僕は縁側で仕事することもあります。限られた土地では空間の使い方を決めないことが大事。自分の気持ちいい場所を自分でつくるというのが、我が家の暗黙のルールといっていいかもしれません(笑)」。 ご主人が、愉快そうに締めくくった。70

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