雑誌「チルチンびと」100号掲載 神奈川県 ㈱ワイズ
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2154356な、とふと気づいたんです」。竣工時が最も新しく、のちに劣化する素材もあるが、建ってから素材が成熟していく土壁ならば、維持費もおさえられるのではないだろうか。また、西川材の檜を自然乾燥し、伐採から施工まで、木の寿命を保つ手法を選ぶ、「素材を生かしきる」同社の姿勢にも関心があった。 Yʼsとの出会いは、〝落ち着きのある家〟を求めて手に取った『チルチンびと』からだった。茅ヶ崎市にある同社を訪ねていくと、期間限定で公開されていた「土の家」に案内された。「軒先が出ていてすごくきれいなつくりでした。玄関に入るまでの版築も気に入って」と奥さん。夫婦は完全にその家に魅了されたのだった。土壁はメンテナンスフリー 家づくりは「土の家」が大いに参考になった。新居には、夏涼しく冬は暖かいこととメンテナンスフリーをコンセプトに、希望していた版築、ペレットストーブ、ステンレスのキッチン、ご主人の趣味の燻製スペースが組み込まれた。 奥さんたっての希望の「夏障子」のしつらえも実現した。「娘たちは自分が育ったときとは違う環境で生活している。日本の四季の移り変わりの美しさを感覚としても持って欲しかった」。リビングの趣きある手工芸の数々は、奥さんの静かな主張を際立たせていた。そして、部1・2リビング・ダイニングでくつろぐ一家。窓際や階段などちょっと腰掛けられる場所が多い。 3ご主人の希望でつくられた燻製スペース。「煙があまり近所にいかないように北側に設置しました」と山本康彦社長。 4漆喰で仕上げられたトイレ。 5寝室は夫婦の趣味を色濃く反映し、梁が現しで用いられた。

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