雑誌「チルチンびと」別冊36号掲載 神奈川県 ㈱高棟建設工業
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31は経年劣化するものだが、N邸を施工し、外壁の塗り替えも行った高棟建設工業の現場監督・大木康弘さんは、海辺の湿った気候が与えた影響は大きいのではないかと言う。海辺に家を建てる際、頭に置いておくべきポイントだ。 しかし、このように湿気が多く、日差しも強い環境ながら、外壁の板材の反りはほとんど見られなかった。これは、施工の際にこの地の気候を考慮し、外壁を又釘(U字型になった釘)でしっかり押さえたことが効果を発揮していると大木さん。確かな施工力を持った地域の工務店と家づくりをすることが重要だ。*** 注意点があるとはいえ、この地での暮らしがもたらしてくれるものはそれ以上に大きい。「茜色の空が、赤紫になり、ブルーになって暮れてゆく。ここから見える夕暮れはいつまでも見飽きません」と奥さまはにっこり。 海辺暮らしを夢見ているあなた。Nさんのこうしたアドバイスを踏まえ、夢のシーサイドライフを実現させてみてはどうだろう。木部を流木のようなシルバー色にする目的で、洗い流されるのを見越して柿渋を使用。果たして狙い通り美しいシルバー色の外観になったのだが、日陰になりがちな北西側の外壁や軒裏の一部で、柿渋が流れ落ちた木部が黒ずみ、苔のようなものも付着していたそうだ。そこで、竣工から5年目の200 9年に外壁を塗り直した。塗り直し工事では、柿渋を洗浄し、その後に耐候性にすぐれ、木の素材感を損なわない透明の塗料を塗布した。 立地環境や素材にかかわらず、外壁■ 所在地:神奈川県三浦郡■ 敷地面積:103.10㎡■ 延床面積:119.22㎡(1階39.74㎡ 2階39.74㎡ 3階39.74㎡) ■ 設計:趙 海光+熊谷かおり+相川直子 プラン21 ☎ 03-3947-5818■ 施工:㈱高棟建設工業 ☎ 045-811-4047DATA1階リビングから見える夕暮れの風景。鳥が巣をつくってしまったダクトフード(右)。フードの下部を支える棒状の部分が、巣をつくるのに適していたようだ。左は取り替えたダクトフード。右/塩分を含んだ雨風の影響かは不明だが、ガルバリウム製の雨樋の一部が腐食したため、塩ビのものに取り替えた。 左/デッキの床材。こちらは、外壁のような黒ずみは見られなかった。(P.31写真/編集部)竣工時からあるポスト。当時植えたミカンが実を結ぶ。

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