雑誌「チルチンびと」別冊36号掲載 神奈川県 ㈱高棟建設工業
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29 3階建ての住まいは、外壁が檜板張り、構造材が杉、室内の床も杉でできた木の家。各階、海のある南東側に向かって大きな開口部があり、室内にいながら海、山、空の雄大な景色が楽しめる。晴れた日には窓から富士山も見えると言う。1階リビングの開口部から伸びたデッキに出れば、海風がやさしく頬を撫でて気持ちがいい。 また、近くに住んでいる息子さんは、余暇には海辺でバーベキューをしたり、フリスビーをしたり、趣味の自転車で海岸線を走ったりして、自然が豊かなこの地での暮らしをアクティブに満喫しているそうだ。 最近、N邸の近所では子育て世代の若い家族が増えているそうだが、「若い人の中にも、都会にはない、ゆったりした上質な時間を楽しむ人が増えているんじゃないかしら」と、奥さまはここでしか味わえない時間の魅力を語る。 神奈川県三浦郡。三浦半島の豊かな自然と、温暖な気候に恵まれたこの地は、風光明媚な行楽地として古くより名高く、かの源頼朝も別荘を構えたという。近代になると、皇室をはじめ、上流階級の別荘が多く建てられるとともに、一般の人びとの間でも避暑地として親しまれてきた。 そんな歴史的なリゾートで、夢の海辺暮らしを楽しむN邸を訪ねた。 Nさんが都心からこの地へ引っ越したのは2004年のこと。仕事をリタイアしたのを機に、海水浴や釣り、シーカヤックなど、海のある暮らしを思う存分楽しみたいと新居を構えた。 「実際、シーカヤックは全然やってないんですが(笑)、海辺を散歩したり、山も近いので散歩コースには困りません」とNさん。親しくなったご近所の方からワカメやトコロテンをいただいたりするというのも海辺ならではだ。山の稜線が青い空と接する。その向こうには相模湾が広がっている。雨に洗われ、美しいシルバー色になった外壁。東京・辰巳工業で誂えたオリジナルのキッチン。飲食店の厨房のような機能性を備えている。上/3階の息子さんの部屋からバルコニーを見る。見た目のやさしさを出すため、柱は丸に近い8角形に。 下/三つの階をつないでいる階段まわり。

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