雑誌「チルチンびと」98号掲載 神奈川県 ㈱加賀妻工務店
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200床をうづくり仕上げにしたため、足裏で自然の木のぬくもりをより心地よく感じられる。 また、吹き抜けをダイナミックに彩る障子は、高橋さんが美しさを追求してデザインしたもの。「障子は窓との間に空気の層をつくってくれるので、断熱効果もすぐれています」と話す。  終の棲処に薪ストーブを入れたのは、和貴男さんの心の中にしまわれていた思い出と、東日本大震災時の体験が理由だった。「子どもの頃に裏山で焚き火をしたり、新婚当初に毎日1時間かけて薪風呂を焚いたり、火がある生活って大変だけど楽しかったんです。また、薪ストーブ導入を決心したのは東日本大震災の時。計画停電で電気が使えない、さらに灯油の入手も困難になって、それは寒い思いをしたんです。電気や石油に頼る暮らしの危うさを感じました」。 若林さん夫妻がこの家に暮らして4年が経った。和貴男さんは2年前に退職し、薪ストーブ料理や趣味の音楽鑑賞を思う存分楽しむ日々。「時間がたっぷりあるから、少し手間のかかる薪ストーブがちょうどいい」と笑う。妻の寿子さんは今後数年は仕事が続くが、「退職後にこの家でゆっくり過ごす時間が楽しみ」とうなずく。夫妻の表情には、理想の住まいを手に入れた充足感があふれていた。手間がかかるくらいがちょうどいい12

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