雑誌「チルチンびと」79号掲載 神奈川県 ㈱加賀妻工務店
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ダイニングは開放的に、リビングは天井高を抑えて落ち着いた雰囲気に。ソファに座ったときの目線に合わせて東側の窓位置を下げてある。料理好きの夫婦が選んだ、手入れしやすいオールステンレスのキッチン。食器棚は以前の家で使っていたもの。傷や汚れも個性と考え大事に使うのがK家流。生活動線に配慮し、キッチンと隣あわせに洗面、トイレなどの水まわりが集めてある。だ。それまでも家族はずっと大磯で借家住まい。そして息子さんの中学校のPTAとしてシック・スクールについて調べていたときに、茅个崎市の同社がシックハウス診断士の資格を有しているのを知った。以来何となく気になっており、新築が決まるとすぐに同社のことを思い浮かべたという。 その後、妹尾喜浩社長と会った際に﹁自然に還る素材だけを使い、職人がていねいに建てる﹂という家づくりの思想を熱く語るのを聞き、﹁3・11と原発事故以後、自然の営みに沿う暮らしをしたいと思っていたので、改めてとても共感しました﹂と奥さん。完成住宅見学会などを通して施工力にも納得した。ちなみに同社ではすべて自社大工で若い世代の育成にも力を入れている。 唯一の気がかりがセンスだった。奥さんは雑誌の編集者だった経験から、同じテーマでもセンスが違えば別物になってしまうのを心配したのだ。が、髙橋さんと話すうちに、建築やデザインについての建主の好みをよく理解してくれることがわかった。そこで﹁ワクワク感のある家﹂を依頼すると、憧れの図書館風プランが出てきたわけだ。このプランは緻密な設計と職人技の賜物。特に鉄骨階段の施工は難しく、髙橋さんが鉄骨屋や大工と現場で何度も確認し200

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