雑誌「チルチンびと」72号掲載 東京都 ㈱大丸建設
1/4
東京・杉並区のとある駅、にぎや
かな商店街を抜けた静かな住宅街。
路地を入った旗竿敷地にO邸は建つ。
玄関に迎え入れられると、ふわっと
杉の香りに包まれた。玄関ホールの
扉を開けると、南側の開口からの光
が明るい家族室と一続きの北側の和
室。和紙張りの天井に反射した光が、
室内をやわらかく照らしていた。
代々住み継げる家づくり
以前住んでいた家はOさんの奥さ
んの祖父が建てた、およそ築
80
年の
建物だった。傷んできたのでリフォ
ームも検討したが、子どもや孫たち
が将来住むことも考え、建て替える
ことにした。Oさんは、「新しい家も、
最低同じくらいはもつ家にしなけれ
ば」という使命感にも似た気持ちを
抱いたという。また、アトピー体質
の息子さんのことも配慮し「自然素
材で住み心地のいいものにしたい」
と友人に相談。紹介されたのが、建
築家・田中敏溥さん、そして『チル
チンびと「地域主義工務店」の会』
の「㈱大丸建設」だ。
同社は明治時代の大工から始まり
創業130年余。東京多摩地区を中
チルチンびと
「地域主義工務店」
の会
右/ 3 部屋にまたがる広々とした木製テラスと、そとん壁が調
和した温かみのある外観。 中/白太と赤味のコントラストが
美しい杉の木目。清潔感のある玄関。 左/家族室への引戸も
木格子とガラスを使って、玄関収納と連続性を感じさせるデザ
インにした。
上/奥さんが和室にしつらえた季節の花。 下/
玄関の植え込みのグリーンがさわやかに迎えてく
れる。
東京都・㈱大丸建設
次世代へつなぐ
木の香りと
ぬくもりの家
これまで暮らしてきた、
築
80
年の家を建て替えることになった家族。
地域主義工務店と設計事務所が力を合わせて
つくりあげたのは、今まで以上に長く住み継げる家だ。
写真*米谷 享
元のページ
../index.html#1