雑誌「チルチンびと」72号掲載 東京都 ㈱大丸建設
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 東京・杉並区のとある駅、にぎや かな商店街を抜けた静かな住宅街。 路地を入った旗竿敷地にO邸は建つ。 玄関に迎え入れられると、ふわっと 杉の香りに包まれた。玄関ホールの 扉を開けると、南側の開口からの光 が明るい家族室と一続きの北側の和 室。和紙張りの天井に反射した光が、 室内をやわらかく照らしていた。 代々住み継げる家づくり  以前住んでいた家はOさんの奥さ んの祖父が建てた、およそ築 80 年の 建物だった。傷んできたのでリフォ ームも検討したが、子どもや孫たち が将来住むことも考え、建て替える ことにした。Oさんは、「新しい家も、 最低同じくらいはもつ家にしなけれ ば」という使命感にも似た気持ちを 抱いたという。また、アトピー体質 の息子さんのことも配慮し「自然素 材で住み心地のいいものにしたい」 と友人に相談。紹介されたのが、建 築家・田中敏溥さん、そして『チル チンびと「地域主義工務店」の会』 の「㈱大丸建設」だ。  同社は明治時代の大工から始まり 創業130年余。東京多摩地区を中 チルチンびと 「地域主義工務店」 の会 右/ 3 部屋にまたがる広々とした木製テラスと、そとん壁が調 和した温かみのある外観。 中/白太と赤味のコントラストが 美しい杉の木目。清潔感のある玄関。 左/家族室への引戸も 木格子とガラスを使って、玄関収納と連続性を感じさせるデザ インにした。 上/奥さんが和室にしつらえた季節の花。 下/ 玄関の植え込みのグリーンがさわやかに迎えてく れる。 東京都・㈱大丸建設 次世代へつなぐ 木の香りと ぬくもりの家 これまで暮らしてきた、 築 80 年の家を建て替えることになった家族。 地域主義工務店と設計事務所が力を合わせて つくりあげたのは、今まで以上に長く住み継げる家だ。 写真*米谷 享   

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