雑誌「チルチンびと」64号掲載 埼玉県 ㈲井上建築工業/いのうえさんの家
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P1 埼玉県・ ㈲井上建築工業/いのうえさんの家 子どもの絵と書を 慈しむ暮らし 自宅を建てるにあたり、「子どもの絵の美術館を」と、 奥さんから強く希望された工務店主。 25坪の敷地に、無垢の木と漆喰を使い、 絵画に彩られた住まいを生み出した。 所沢市を拠点に、在来工法で地域材を使った家づくりに努めている、井上建築工業/いのうえさんの家。社長である井上泰一さんの自宅は、同社モデルハウスの隣に建つ。「偶然なんです」と、苦笑する井上さんは、奥さんと3人のお子さんの5人家族。自宅を建てようと思案していたところ、縁あってモデルハウスの隣に土地を得たという。  約25坪の敷地に建つ、木造3階建て。OMソーラーを導入した住まいは、そこここに自由で伸びやかな絵がしつらえられている。 「主人に伝えたのは、子どもの絵の美術館のような家を建てて欲しいということ」と、奥さんの幼子さん。子どもたちが描く無垢な絵が愛おしいと、アパートで暮らしている時から、選りすぐっては額装し、大切に保管してきた。かたや井上さんは、「柱や梁を現した、真壁の家をつくりたい」と考えていた。自身も大工として現場に立って来たから、本格的な木組みの家をつくりたかったのだ。  壁は多いほうが絵をたくさん飾れると考える妻と、真壁の家で、光や風を取り入れるため窓を各所に配しようと設計する夫。「意見がぶつかって大変でした」と井上さんは話すも、その表情は自信に満ちている。暮らし始めて4年が過ぎ、住み心地の良さを日々実感しているからだ。幼子さんも、「日中は一人になることが多いんですけど、子どもたちの絵に囲まれているから淋しくないですね」と微笑む。 大勢が集まれる空間のLDK  両親との同居も視野に入れ、1階は洋室(将来は両親の部屋)と浴室、2階は8寸角の大黒柱が中央にすっくと立つLDKと和室、3階が子供室というプラン。2階と3階をつなぐ吹き抜けから見える、現し天井のたくましい木組みは、自然と視線を上に伸ばし、開放感を演出している

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