雑誌「チルチンびと」91号掲載 埼玉県 ㈱蓮見工務店
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172信頼関係が生んだ理想の住宅 家づくりの中心になったのは、あいさんだ。「子どもには、木や土と触れ合いながら育ってほしい」という思いを温めていた2015年春頃、『チルチンびと』を読んで「地域主義工務店」の会を知った。当時、憧れていた大屋根のある住宅が、蓮見工務店のホームページに施工例として掲載されていたのを見つけ、「運命的に感じられて」家づくりを依頼したという。 「外観は大屋根、無垢の木を使いたいというご希望でした」と、設計を担当した蓮見健司さんは振り返る。その後、別の施工例を見学してもらったところ、「丸太の梁を入れたい」という要望も加わった。 2016年4月に工事が始まると、あいさんは現場に週2、3日通うようになった。大工や職人にお茶を振る舞い、話をしながら、できあがっていく我が家を見守ったという。その姿は職人たちのモチベーションを上げた。「山口さんは職人を尊重し、信頼し、期待もしてくれた。ワクワクしながら接してくれているのが伝わり、それに応えようとみんな一生懸命でした」と蓮見社長は語る。 工期中、近くにあったあいさんの祖母宅を壊すことになった際は、蓮見工務店がその家のケヤキの梁などを引き取り、新居玄あいさんの祖母宅から受け継いだケヤキ材は、玄関と階段に生かしてある。右から、階段の踏み板、玄関扉の取っ手、上がり框、下駄箱の天板。琉球畳を敷いた小上がりの畳コーナーやソファセットがあり、思い思いにくつろげる。工務店手づくりのテレビボードや戸に格子を用い、統一感を持たせている。

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