雑誌「チルチンびと」91号掲載 埼玉県 ㈱蓮見工務店
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170外観。ゆるやかな傾斜の大屋根と白い左官壁が、やさしい雰囲気を醸す。庭には芝生を敷きつめ、紅葉が美しいイロハモミジやナツハゼなどを配置した。写真=畑 耕「自然と触れ合いながら育ってほしい」。子どもたちの健やかな成長を願ってつくられた家は、無垢材の温かみと開放的な雰囲気に満ちている。建主の思いと、職人の確かな技術が生きた住宅を紹介する。ていねいな仕事の大屋根と太い梁の家埼玉県  蓮見工務店 山口邸採れたてのイチゴが並ぶ食卓。建材由来のあたたかさ ゆるやかな傾斜を描く大屋根と、白い左官壁。広い芝生の庭には、若木が枝を伸ばす。2016年11月に竣工したばかりの山口邸。太い松の梁が見守るリビングで、30代の山口賢一郎さん、あいさん夫妻と、長男・倫太郎くん、長女・ことはちゃんがだんらんを楽しむ。 「仕事が忙しくても帰るのが待ち遠しい。不思議とおおらかな気持ちでいられるんですよ。子どもたちもすぐに新居になじみました」(賢一郎さん)。 リビングは床がオークの無垢板、壁は珪藻土の左官仕上げ。吹き抜けの天井には、福島県産松の太い梁が堂々と交差し、家のシンボルとなっている。ほかの居室にも、桜の無垢板などが使われている。 「冷え込んだ朝でも、この家は空気がとってもやわらかい」と、あいさんが話すと、建築に当たった蓮見工務店の蓮見幸男社長が「蓄熱する素材が多いので、室内の空気が冷えると熱が放出されるんですよ」と説明する。山口さん一家は以前、床暖房のあるマンションで暮らしていたが、それと比べても「抜群のあたたかさがある」と賢一郎さんが頷いた。「裸足でいる子どもたちも、気持ちよく過ごせているみたい」(あいさん)だという。

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