雑誌「チルチンびと」92号掲載 埼玉県 ㈱千葉工務店
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166情熱もさることながら、建主の要望に個別で対応してくれることも決め手に。「Tさん夫妻は住まい方の理想や家の完成図がはっきりと頭の中にあったんです。私たちはそれを形にする手助けをしただけ」と、同社の千葉弘幸社長は謙遜する。 設計については事前にしっかりと構想を練っていた夫妻。ご主人は趣味が高じて、自ら3Dソフトを使いパースまで描いていたほどだ。完成した家はほぼ自分たちが思い浮かべていた通りだという。二人三脚で実現した自給自足が叶う家 玄関の無双戸を引いて家に入ると、土間がキッチンまでつながる。視線の先にはカラフルなボルダリングの壁が。右手には一段上がった板間があり、ソープストーンの薪ストーブが鎮座する。天井が高く開放的な一室空間を、家の中央で交差する栗駒杉の太い梁と大黒柱が引き締める。驚くほどさっぱりとしているが、夫妻にとってはこれが理想的な住まいの形だった。 二人が最も大切に考えていたのは、日々のなかで“精神的豊かさ”を感じられること。快適に暮らせたとしても、そのために「エネルギーをたくさん使うような暮らしはしたくなかった」。電気やガスなどへの依存を極限まで減らし、生活空間も最小限に。薪ストーブを導入したり、冷蔵庫の代わりに高性能のクーラーボックスを使用したりすることで、住み心地を確保する工夫も欠かさない。一見禁欲的に見えるが、実は理にかなった空間と暮らし方なのだ。「簡単にノーと言わず、建主さんの要望にはできる限り応えたい。そのための打ち合わせ回数では他に負けません」と笑う千葉社長に、ご主人がにこやかな表情で続ける。「おかげで想像以上に暮らしやすい家になりました。深呼吸すると気持ちがいいんです」。朝日とともに目覚め、薪割りをしたりDIYで薪棚をつくったりと、充実した日々を送っている。奥さんも「夜は暗くなったらすぐ寝ちゃこだわりの工務店………………31

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