雑誌「チルチンびと」薪ストーブ年鑑2017 群馬県 松浪建設㈱|和モダンの空間に映える 薪ストーブの炎
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124する和室は、鮮やかなベンガラ色の襖を開ければ、こちらもまた連続した空間として使うことができる。さらに吹き抜けを介して2階ともつながっており、家中がひとつながりになるよう設計されているのだ。 ひとつながりの家の中心となるのが、リビングに設置された薪ストーブだ。同社では、先代のモデルハウスにも薪ストーブを設置するなど、ブームになる以前から薪ストーブのよさに注目してきたという。その背景には、太田市の気候風土がある。太田市は積雪こそほとんどないものの、冬になると「上州の空っ風」とも「赤城おろし」とも呼ばれる寒風が吹くため、体感温度はかなり低くなるのだ。けれどもこのモデルハウスでは、真冬でも薪ストーブ1台で家中が十分に暖かい。「吹き抜けによって空気が循環するので、家中に薪ストーブの暖気がめぐります」(松浪社長)。 一方で、夏の太田市は内陸都市特有の厳しい暑さとなる。けれども、このモデルハウスでは吹き抜けの効果に加えて漆喰壁が湿気を吸ってくれるため、涼しく過ごすことができるという。「吹き抜けを設けることで、空気の循環に加え、家族の気配を感じられますし、さらには意匠としても魅力的です。お客さまには、設計に入る前に、吹き抜けのメリットもお伝えするようにしています」。上/柱も建具もすべて国産材を使用。大黒柱は檜の8寸。 下/造作キッチンは建具職人の手によるもの。大工や建具職人などの中には、40年以上の付き合いの職人もいる。空っ風にも負けない        薪ストーブのぬくもり「たとえ棟数は少なくとも、自信を持っていい家だと誇れる家を建てたいのです」。松浪建設社長の松浪正博氏は、家づくりへの熱い思いを語る。その言葉どおり、同社の建てる家の特徴は、産地の明らかな国産の無垢材のみを使い、大工や職人が1棟1棟ていねいにつくることにある。 こうした松浪建設の家づくりを体現しているのが、本社ビルの隣に建つモデルハウスだ。玄関から室内に入ると、リビングを中心に食堂とダイニングが一体となった大らかな空間に迎えられる。リビングと隣接

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