ベニシアと正 2 -青春、インド、そして今-
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薪ストーブと日々の暮らし 2019年の冬、愛用の薪ストーブを手放した。ベニシア出演のNHKテレビ番組「猫のしっぽ カエルの手」の展示会を日本各地のデパートでやることが決まったからだ。主催者は我が家の薪ストーブを展示品目に入れたいという。展示会は1年間以上続く。薪ストーブを貸し出したら、冬はどうしよう? 展示用に新しいストーブを買うことを提案したら、「長年使い込んで渋い、あの古いストーブを買い取りたい」  20年間も使ったのに購入時の価格を払うという。複雑な気持ちだがサヨナラとなった。  新調した薪ストーブは約200㎏の鋳物製。前の2倍の大きさと重さだ。 『チルチンびと』の薪ストーブ特集などでも紹介される、ホンマ製作所が中国で製造した薪ストーブである。  欧米製の薪ストーブはかなり高額で、ユーザー自身での取りつけを推奨せず、販売店が設置するシステムだ。ホンマの薪ストーブは欧米製品よりずっと安価で、ユーザー自身での据えつけを会社側は拒まない。敷居が高い薪ストーブの世界が、自然派庶民にも手が届きやすくなった。新しい薪ストーブの燃焼室は広く、そこにクッキングスタンドを据えバーベキュー網や焼き串、ダッチオーブン、フライパンをのせて肉や魚を焼いたり煮たりと料理の幅が増えた。美味しい料理に舌鼓を打つ日々だが、薪はどんどん減っていく。2倍の大きさの薪ストーブは、前の1・5倍ぐらい薪を食うようだ。  毎年、秋が深まると薪の調達をしなければ……と気が焦る。本来、薪は伐

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