ベニシアと正、人生の秋に
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3ある日のお母さんの言葉を私はずっと覚えているの。お母さんは、私やみんなのことを褒めない人だった。ある日、お母さんとお母さんの友達がちょっとお酒を飲んで喋っていた。でも、私が聞いていることは、お母さんは知らなかった。そしたら、彼女が「ベニシアは本当に一生懸命生きているの。彼女いつも頑張っている。ベニシアには言わないんだけれど」と話していた。これを聞いていたから、私の人生の中にずっと残っている。お母さんは、あのとき、私を褒めてくれたよね。それを私は一生覚えている。子どもの心の中には、私たちが話したことが残るの。だから、いつ、最後に話すことになってもいいように、ネガティブなことよりもいいことを伝えた方がいいと思う。もし何か抱えている問題があって、そればかり気にしていたら、問題は問題のまま何も変わらない。でも、もし希望さえあれば、自分のパワーで何かが起こる。ポジティブに考えればハッピーになる。これは、私たちが学ばないといけないことよね。いま、正は一生懸命、私のためにごはんをつくってくれている。……なんというか、不思議よね。若いときは、私がごはんをつくっていたけど、今はそういうことができなくなった。もしこの病気を直せたら、私は正にごはんをつくりたい。それができればいいなと思う。ベニシア

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