三重県伊賀市の市街地には江 戸時代に築かれた城下町が広が っている。歴史情緒のある町並 みは趣がある一方で、空き家が 増加し少しずつ活気を失いつつ ある。そこでこの状況に危機感 を抱いた行政や民間事業者によ って、空き家を改修した分散型 宿泊施設の計画が進められてき た。本建物はその計画の一施設 で、客室機能のみが配置された 宿泊棟である。宿泊客は徒歩圏 内にあるフロント棟でチェック インを済ませ、町を歩きながら 宿泊棟へ向かう。町を回遊する 動線によって町並みや地域の生 活文化を身近に感じさせ、この 場所ならではの体験価値を高め ることを目指している。 この施設は道路面の主屋が江 戸末期に建築され、醤油の醸造 業が営まれてきた。道路面は連 子格子・切子格子・仕舞多屋格 子などの縦格子で構成されてお 2 4 3 37
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