チルチンびと別冊69号「民家の再生と創造⑤」
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埼玉県川越市 M邸  雑木の庭に囲まれた 石場建ての家設計・施工=㈲綾部工務店 「終の住処」を建てることにしたMさん夫妻。 伝統構法や石場建てを得意とする地元工務店と出会い、 自然な庭にこだわる造園会社の力を得て、 庭と一体に暮らせる心地よい住まいを手に入れた。 住宅街の一角にこんもり茂る 雑木の庭。木々の間から見え隠 「昔ながらの家で、中に入ると スーッと爽やかで心地よい感じ が忘れられません」(ご主人)。  そんな昔ながらの家を建てて くれる工務店を探し、出会った のが綾部工務店だった。同社は 地域密着・地産地消にこだわり、 木組による伝統構法を実践する 大工型工務店だ。木材は地元西 川材を天然乾燥し、大工が手刻 みで仕上げている。近年関心が 高まりつつある石場建てにも早 期より取り組んでいるという。 「石場建ては 単なる懐古趣 味ではありま せん。建物を コンクリート の基礎に緊結 しないので地 震で建物が破 損・倒壊しづ らいこと、地 震で建物が動 いても重機を 使わず人力で 復旧しやすい こと、床下が土で風も通るため 建物にも人にもよい環境がつく れること、床下の目視検査やメ ンテナンスがしやすいこと、取 り壊す際に大量のコンクリート を処分する必要がないことなど、 多くのメリットがあります」と 同社三代目社長の綾部孝司さん。

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