雑誌「チルチンびと」別冊63号 -日本の森林と地球を守る家づくり-
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21 栃木県佐野市の住宅街、リズミカルな二重の切妻屋根に白い壁、テラコッタカラーのアクセントタイルにステンドグラスの照明が光を落とす、洒落たU邸外観が目に留まる。ひときわ目を引く二重の切妻屋根は、佐野市周辺独特の強風から住まいを守るための、㈲響屋・渡辺響子社長による設計の工夫だ。 玄関を入ると、木のよい香りが鼻腔をくすぐる。「強風から家は守りたいけれど、風通しは遮りたくない」という渡辺社長の狙い通り、室内に多く取られた開口に誘われ、ふわりと抜ける風が心地よい。 右手には水まわりをひとまとめに。左手の家事室から奥のキッチンまで、家事動線をコンパクトに設計。キッチンには料理好きなお姉さんのため、広々としたステンレスの調理台をしつらえ、収納も兼ねたカウンターを挟んでリビング・ダイニングへ、ぐるりと回遊できる間取りに仕上げた。広く見せる工夫 「この家の二つ目の課題は、敷地面積と敷地の形状」と渡辺社長がいうように、奥に長い縦長の土地で、敷地面積も広くはない。そこで、広く見える工夫をいくつもちりばめた。 「まず、地元の建材の鹿沼土をブレンドした響屋オリジナルの漆喰壁に統一。合わせて内装の色合いも抑えました」(渡辺社長)。鹿沼土をブレンドすることで調湿性能のアップも期待できるという漆喰壁は、クリームがかったまろやかな白。外観から内観まで、この白と無垢の木色を基調に、統一感を持ってしつらえられている。「回遊できる間取りも広さのため。さらにメリハリが出るよう、U姉妹の希望もあり畳間は小上がりに」(渡辺社長)。念願の、響屋との家づくり 「20年以上前から、家を建て直したかった」と姉妹は口を揃える。元の住まいは築50年を超え、雨漏りやシロアリ、隙間風など「古い家にありがちなありとあらゆる問題に悩まされていた」という。だが日々の忙しさから、家づくりは先延ばしになってしまった。それでも姉妹の家づくりへの夢は潰えず、「『チルチンびと』をずっと読み続けていたので、響屋さんも、もちろん知っていました。地域の建材を使った家づくりもいいな」56

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