住宅雑誌「チルチンびと」別冊57号「民家の再生と創造① -古材・古民家の美-」
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9右/キッチンカウンターに立ち本職の技を披露してくれた晃爾さん。プロ仕様の道具や、手元を照らすライティングなど、魅せる演出が場をいっそう盛り上げる。 左/庭に面した濡れ縁でひなたぼっこする夫妻の甥の樹くん。晃爾さんもよくここでお昼寝をするとか。右/キッチンのカウンターは、「もともとは大工さんにオーダーするつもりだった」(友紀子さん)が、古材販売店でこのカウンターと運命の出会いを果たした。左/2階から小屋組を見る。も友紀子さんがもともと好きだった京都市内のカフェを設計したのが安田さんだったことがわかった。「設計の依頼を快諾してくださったときは、胸が躍りました」。友紀子さんは当時の喜びをこう振り返る。 安田さんの家づくりは、建主の趣味や生活スタイルを徹底的に聞き込むことから始まる。夫妻は自分たちの好みのテイストを紙いっぱいに書き出し、好きな建物の写真も用意して安田さんに見せた。「あまりの注文の多さに自分があきれるほど」と友紀子さんは笑うが、安田さんはそれに応えた。「とてもわかりやすかったですし、よい趣味をお持ちだなと思いました。私の嗜好と重なる部分も多かったので、自分でも楽しみながらプランを進められました」。 もとの家は伝統的な町家づくりだが、京都のまちなかにある建物のような繊細な美しさとは違い、水運の港町として栄えた伏見の町人文化を表現したような、おおらかでゆとり

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