住宅雑誌「チルチンびと」別冊57号「民家の再生と創造① -古材・古民家の美-」
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11brooch」の小花のブローチとピアス。一つひとつていねいに糸を編んで仕上げている。(「itono brooch」http://itonobrooch.com/) 左下/貝殻を集めてコレクションケースに。右上/土間サロンのコーナーには、友紀子さんの趣味のものが集められている。 右下/アンティークの手洗いスタンドは、郵便受けとして。 左上2点/友紀子さんが手がける「itono のある空間だった。夫妻のイメージを汲んだ安田さんは、壁や梁など使える材はそのまま残しながら、若い二人が暮らしやすい開放的な住まいをつくりあげた。一見するとどこに手を加え、どこが昔のままなのか、判断がつかない。「既存のものを大事にしながら、どう発想し、どう展開をしていくのか。その結果、まるで昔からそうだったかのような佇まいがいい」。安田さんは実に楽しそうに家づくりを語る。 この家の主役はなんと言ってもキッチンだろう。高い吹き抜けの下の広々とした空間には、大きなキッチンカウンターが存在感を放つ。これは安田さんが「ものとの出会いが大切だから」と、夫妻を連れて訪れた、滋賀県の馴染みの古材販売店でもとめたもの。友紀子さんは意匠を凝らしたこの佇まいに、ひと目で惹かれた。カウンターはまるであつらえたように、改築中の空間にぴたりと収まった。「キッチンを舞台のようにしたかった」という夫妻の希望通り、このカウンターは、演じる側と見る側が互いに楽しみながら場を共有できる装置となっている。 この日夫妻は、気心の知れた友人たちを招いて食事を楽しんだ。ダイニングテーブルには友紀子さんの手による料理が次々と並ぶ。晃爾さん

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