住宅雑誌『チルチンびと』99号 -平屋暮らし・古民家の再生と創造-
7/9

3121南側から居間を見る。縁側の前にはイヌシデ、イロハモミジが植えられ、この先、家を囲うように大きく生い茂る計画。 2玄関のアプローチには地元の石を用いて道がつくられている。その石は県北の久慈川水系山田川の支流にある、竜神ダム付近から産出された。3土地は配管を通すために盛土した。周辺に比べて少し高くなった部分には芝が張られ、別荘に近い雰囲気がある。23トとし、結果、依頼を決めたのが、建築家の岩瀬卓也さんと木楽工房だった。「いろんな工務店を訪ねましたが、木楽工房だけが床板の厚さが40ミリでした」(ご主人)。床暖房などの機械システムではないものを、と考えたご主人は、良質な木材を生かす設計手法に深く共感した。参加した住宅見学会でも、「床があったかい感じだった」と話し、「最終的には自分の考えと違和感のないところに落ち着きました」と振り返る。 見学会へはご主人の両親も揃って4人で参加した。「父と母も一緒に行ったのは、その時が初めて。それだけ本気だったのかもしれませんね」と奥さんは当時を思い返す。ご主人も続けて「親父は87歳になるんですけど、こういう無垢の木で建てた建築が好きで、こんな家をつくろうとしていることを、見てもらいたい思いもありました」。庭づくりはジャズのセッションにも似て 夫妻にとって「平屋」は、はじめから具体的な希望としてあった。それを実現するために、岩瀬さんと一緒にいくつか土地の候補を見てまわって決めた。「歳をとって特集平屋の暮らし

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る