住宅雑誌『チルチンびと』99号 -平屋暮らし・古民家の再生と創造-
6/9

22「森は木のにおいがしたから、家の中もきっと、そんな感じになるのだろうと思った」。長女の春菜さんは、家族で伐採体験ツアーに参加したときのことをそんな風に話す。その言葉のように、K邸に入ると清々しい空気に包まれる。床や天井、壁に使われたのは八溝杉。一家が伐採した檜丸太は、新居の梁となって住宅の屋根を支えている。 茨城県那珂市に建つK邸は、50代の夫婦と春菜さんの3人家族の住まい。新居の計画は結婚当初からあったが、「暮らしていた場所が子どもの通学や夫婦の通勤に便利な場所だったので、ずるずると借家住まいを続けてしまいましたね」と奥さんは話す。展示場に何度も足を運んでいた夫妻が再び家づくりに本腰を入れたのは、春菜さんが中学校に入る前のタイミングだった。床板の厚さが、決め手 設計者選びは「同じ自然素材の家でも建築家によってポリシーが異なりますから、たくさん質問をして決めました」とご主人。「住まいに化学物質のにおいがすることがなく、床もヒヤッとしていないこと」をパートナー探しのヒン

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る