住宅雑誌『チルチンびと』96号 -復活する「梁」-
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ソファが似合うような洋風の家を求めていた奥さんと、和風の家を希望したご主人。そんな二人の意見が㆒致したのは、梁のモダニズムを体現し続ける、建築家・泉幸甫さんに依頼したいということだった。共働き夫婦が帰りたくなる場所埼玉県比企郡鳩山町 神保邸設計=泉 幸甫写真=西川公朗復活する「梁」 敷地内に一歩入ると住宅地が別荘のイメージに一変する。白い壁に映える影と、生い茂る草木に心が解放されていく。玄関からリビングへのガラス戸を開けると、清々しい空間が現れ、視線は自然に上へと向かう。天井には垂木が並び、その横に杉の大梁が主張せず架かっている。 「あえて意識はしませんが、この梁から見えないエネルギーをもらっていると思います」。 夫妻が結婚して2年目になる頃、そろそろ家が欲しいね……と土地を探した。住んでいたマンションは駅から離れていて静かだったが、より静謐で緑と土のにおいが感じられる住まいを望んでいた。惚れ18

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