雑誌「チルチンびと」93号掲載 のんびり付き合う、小さな庭「栗田信三さんに教わる花の庭づくり」
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Step 1 花の庭をデザインする① 花の咲く木で建物をやわらかく小さな庭で、駐車スペースも確保しつつ、緑豊かな印象もつくりたい。栗田さんの自邸では、道路から見える場所に効果的に木を植えています。こうした家の内外の目隠しとなる木に、花が咲き実がなれば、なおさら楽しいもの。左図のポイントは、敷地や建物の角など固い印象を与える構築物がある場所に木を配すること。家全体がやわらかい雰囲気になります。小さい敷地でも木を植えるときは、最低でも直径30センチの根が入るスペースを確保したいもの。 意外と見落としがちなのが、水やりなどのための足がかり。みっしりと植物を植えると、歩く場所がなくなりメンテナンスができません。③ 塀、敷石で変化をつける 和の山野草、ハーブ、園芸種など好みのスタイルの花を植えることはもとより、塀や敷石などの素材も大切。栗田さんの庭では木塀の内側は一部左官仕上げにしたり、三和土・砂利敷き・石敷きにするなど随所で変化をつけています。② 駐車場、自転車置き場も楽しいデザインに 駐車場・自転車置き場は、車や自転車がないときでも、庭のように見せたいもの。コンクリートを打つだけでは味気ないので、芝をライン状に植える方法もおすすめです。芝はある程度ボサボサなほうが自然な趣を生みます。ほかにも枕木や石を使ったり、洗い出しの調合を変え、表情の変化を出しています。1 駐車場は手前から南部砂利、真ん中は大磯+川砂利、奥は川砂利と実験的に変えている。 2 玄関に至るアプローチはマサ土の三和土。 3駐車場の轍の部分は、仕事で余った枕木やさまざまな石を組み合わせ、芝も植えている。1 茶庭に使われる京都の真黒石。 2 板塀は裏表で張り方をずらし、風と光を通している。 3 アトリエのはめ殺し窓の前は視線を遮るため半田土+セメントの左官壁。 4 夜は壁を伝うように光が落ちる。(*)1213342ソヨゴジューンベリーイボタ自転車置き場(砂利敷き)ギンバイカ目隠しをつくるリキュウバイイロハモミジ春先に新緑とともに3~4㎝の白い花をつける。斜めに前のめりになるよう配置したかった。敷地の角を隠す。半常緑で初夏に房状の白い花を咲かせ、秋には赤い実をつける。斜めにのびる枝をつくりやすい。擁壁の角を隠す。初夏に2㎜ほどの白い花を咲かせ、秋には赤い実をつける。枝が広がらないので狭い場所向き。木塀の端をやわらげる。常緑で夏に雄しべが印象的な白い花をつける。葉が細かく、枝先がやわらかい印象を与える。住宅の角を隠し、外からの目隠しにも。ここは2階テラスの下。地植えだとすぐに大きくなるので鉢植えで。春先に桜に似た白い花を、初夏に赤い実をつけ紅葉する。縦横にバランスよく広がり、シンボルツリーに向いている。白い花のアーチ駐車場は斜めに角度をつけることで、奥行きを出す。閉鎖的な印象を生むので塀はつくらず緑を見せるアプローチ(マサ土三和土)土間のアトリエ(マサ土三和土)駐車場(洗い出し)78

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