雑誌「チルチンびと」93号掲載 のんびり付き合う、小さな庭「栗田信三さんに教わる花の庭づくり」
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年間スケジュール3〜5月● 夏花の苗植え、秋花の種蒔き● 除草● 芝の施肥● 常緑樹の移植/植え替え● 落葉樹の植え付け ● 挿し木、取り木6〜8月● 株分け、挿し芽● 伸びすぎた蔓ものを切り戻す● 剪定(風通しがよくなり、足元に日が当たるように)● 病害虫の対応9〜11月● 冬花の苗植え● 春花の種蒔き● 常緑樹の植え付け●台風対策(支柱に紐で結ぶなど)12〜2月● 球根の掘りあげ●宿根草の枯れた地上部の切り戻し ● 土づくり、寒肥● 落葉樹の植え付け/植え替え● 落葉樹の剪定(特に強剪定)● 防寒・施肥(有機肥料はこの時期)草花樹木栗田さんの庭のある土地は関東ローム層で比較的よい土壌だが、満足できる質ではなかったので、自邸建設時に土はすべて黒土に入れ替えた。基本的に庭植えでは肥料はほぼ必要ないが、生長が芳しくない場合は腐葉土や有機質の固形肥料を与えてやるとよい。芝はレイヤーを入れるように、ざっくりハサミで切っていくのが栗田流。愛らしいが繁殖力も強いドクダミ。1本だけ飛び出したヤマアジサイの枝をカット。自然だけれども、だらしない感じにならないように。花が終わったイボタをすっきりさせる。飛び出しているところを手で辿り、新しい枝が横から出ているところにハサミを当てる。新芽は残す。基本は、伸びる方向に素直な枝を残す。右図の場合は①の枝が方向性を生んでいるので、そこを生かしてやるように。① 日々のお手入れ② 雑草・芝生の処理 宿根草を主体にした花の庭は、神経質にならなくてもよいが、やはり相応に面倒をみることが大切。お手入れが苦にならないいちばんの秘訣は、「好きなものを、自分で植えること」です。また成長する植物の「毎日の喧嘩の仲裁」も大切です。繁殖力旺盛なグラウンドカバーが草花の領地を侵食したり、大きな木の根っこ同士が喧嘩をし、深く根を張れていないものが生存競争で負けてしまうことも。毎日土いじりをする必要はありませんが、日々の愛情をもった目配りが何よりです。 何が雑草で何が野草という定義はなく、ドクダミなど一般に雑草と呼ばれる植物でも、自然な雰囲気を醸し出してくれます。 注意したいものがあるとすれば、アカザ、シロザ、セイヨウヤマゴボウなど、ほかの植物を淘汰する上、丈が高くまわりの雰囲気を崩してしまうもの。これらは根っこから抜いてしまいます。 基本的には神経質に考えず、アザミなど丈が気になるようなら茎の途中で切ります。消毒・除草剤は人体によくないのはもちろん、まわりの植物にも影響を与え、おすすめではありません。よい方法は雑草が生えてきそうな場所に好きな花を植えること。おのずと目配りがよくなります。管理が楽なクローバーの種を蒔くのも一つの手です。 芝は、ボサボサしているほうが魅力的なので神経質にならずに。気になるようなら1年に2回ほど、ハサミでカットしましょう。③ 剪定をする 枝が伸びて邪魔になったり、風通しや日当たりに影響が出てきたら、剪定してみましょう。日本庭園とは異なり、人工的かつ直線的に刈り込む必要はありません。めざすところは剪定をしたのがわからないくらい、自然な仕上がり。隙間を多くし、一様に短く切り揃えないのが自然な印象を生む秘訣です。 Step 3 花の庭を育てる①84

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