住宅雑誌「チルチンびと」91号 金沢 ―このまちに生きる12人の女性たち
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6「金沢は、暮らしの中に伝統文化が自然と息づいている町なんです」と言うのは、ひがし茶屋街の細い路地裏で「町屋塾」を運営する宇都宮千佳さん。町屋塾はお茶や英会話、ダンスなどの学びの場であり、カフェも併設したオープンな場所になっている。 愛媛出身の宇都宮さんは大学時代に金沢でモダンダンスと出会い、ダンサーとしてイギリス留学も経験。あちこちを転々とする一方で居場所のなさを感じていたが、数年ぶりに戻った金沢には不思議とそんな感情は起きなかった。古い町並みと豊かな自然が混じり合い、地に足のついた暮らしがそこにあった。 建物や人との出会いも大きい。偶然見つけた築80年を超える町家、改修を手がけた大工さんや職人さん。それらが結びついて生まれたのが「町屋塾」。だからこそ自分の塾という認識はない。「この〝場所〞に人が集まってくれている」。そして、強い思いをもって地道にやってきたことを、金沢の人はちゃんと見てくれていたんだ、と。「誰かの居場所になり、ここから生活に根ざした文化を発信していければ」。ここは宇都宮さん自身の居場所にもなっている。このまちに生きる女性たち①宇都宮 千佳「町屋塾」主宰/ダンサー

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