チルチンびと122号「火を楽しむ上質な時」
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陰影が生活を彩っており、 この家の顔となるような 特徴的な開口部となった。  また景観と性能の両面 から瓦を屋根に葺いてい るが、空気集熱パネルは 越屋根部分に設けて屋根 材の違いを分離すること ができ、そして越屋根に 設置した窓によって効果 的な通風と採光が促され ている。  このように性能と情緒 を両立した住まいをつく りたかったのだが、その 象徴は暖炉である。高断 熱気密空間の中で、さら に第一種換気のシステム の中での暖炉は火や煙の 制御が難しく、何度か失 敗して改良を重ねてきた。 そしてようやく現在の形 に落ち着き、原初的で情 感あふれる火の世界を、 現代の住まいの中心に無 理なくつくることができ た。暖炉の稼働率も高い と聞いて安堵している。       (堀部安嗣)

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