チルチンびと122号「火を楽しむ上質な時」
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神奈川県鎌倉市 扇ヶ谷の家  風土と モダニズムの相剋 故・平良敬一は「風土とモダニズムが出会う時、相剋が起き 新しいデザインが生まれる。それがどういうデザインかは僕にもわからない」と 言っていた。この住宅は、日本民家の知恵( 温熱性能を含めた環境との 共棲を意識した)をデザインし、時代を切り拓く情熱に満ちた建築である。 扇ヶ谷の家  古都鎌倉の風情と歴史 を継承しながら、現代的 な生活に快適に対応する 住まいをつくりたかった。 建物の外皮性能を高め、 そして空気集熱ソーラー を兼ね備えた全館空調換 気システムを導入して、 室内のどこに行っても快 適な室温と省エネルギー を実現した。  扇型に開いた特徴的な 平面は、道路の軸と南北 の軸の両方を兼ね備える ことから生まれ、主室を 正南面させることで豊富 なダイレクトゲインを得 られるようにした。  その窓辺には潜熱蓄熱 体を埋め込んだ壁柱を林 立させて、窓辺の環境を 安定させると同時にサッ シの存在を消し、さらに 外部には日射遮蔽とプラ イバシーのために外付け アルミブラインドを設置 している。壁柱の豊かな 16

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