広い敷地には建主が 30 年以上 住み続けた主屋のほか、自身が 営む医院が建っている。今回、 主屋は子世帯に譲り、独立した 生活ができる“はなれ”のよう な性格の建物を主屋の隣に建て ることになった。 計画にあたっては、医院や主 屋からのプライバシーの確保、 既存の庭の眺め、主屋や医院と の動線の整理を重視した。結果 として方形、寄棟の建物が4棟 雁行しながら連なる形となり、 それぞれの屋根の下には性格の 異なる場所を与えた。 手前から、車2台を格納でき る車庫棟、主屋や医院への動線 の要となる玄関棟、庭と一体と なりパブリックな場となる土間 棟、そしていちばん奥には生活 に必要な機能をコンパクトに集 約したプライベート棟となって おり、それらは屋根の連なりと 雁行によって独立しながらもお 互いの気配を伝えている。 また主屋や医院への圧迫感を 軽減するために軒高や床高は極 力抑えており、緑の中を這うよ うに広がる佇まいの家となった。 (堀部安嗣)
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