特伝 集 統構法と 和モダン「伝統構法」とは金物を使わずに木組みで家を建てる 日本の伝統的な建築構法である。 良質な木材を見極める目を持った工務店、 知識や技術を持った大工にしか行えない。 「和モダン」とは梁や障子などの伝統的な和風要素と、 大きな窓や仕切りのない空間などの 現代的な洋風要素を融合させたデザインを指す。 ここでは建築家と工務店が建てた事例を紹介する。「構造即意匠」の日本建築 ヨーロッパの近代建築が日本にも たらしたプラス面もありました。そ れは「構造即意匠」という、西欧近 代建築の原理です。それ以前の時代 の装飾的なものを排除していって到 達した建築原理なのですが、日本の 伝統建築はこれによって貫かれてい ることが発見されたのです。ブルー ノ・タウトが桂離宮を見て絶賛した のも、そのためでした。 「デザイン」というと今は「設計」 と訳していますが、日本語に置き換 えるのはなかなかむずかしいもので す。「意匠」という言葉と「デザイン」 という言葉との対比で考えると、「意 匠」が着ているもの・装飾的なもの とすると、デザインはより骨組に近 いものを意味するでしょう。 伝統的日本建築は、柱や梁といっ た「構造」が露出し、それそのもの が力強く美しい「意匠」となってい る。そのことを「構造即意匠」であ ると西欧人は認め、日本人みずから も初めて日本建築にそのような評価 を与えるようになったのです。(中略) 建物をつくるということは最初か ら、どういう生活がそこで行われる かのイメージをよく練りながら設計 することにほかなりません。そのプ ロセスで素材と技術とが融合し、機 能・構造・美的感覚をともなってで きあ
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