雑誌「チルチンびと」109号 -この庭が楽しい -
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17 「週末、収穫したジューンベリーでほんのりブランデーが香るジャムができました。今年はヒヨドリとの競争を制し、取材でも活用したブルーの高坏にこんもりと。なんとか100グラムほど収穫できました」。そんなメッセージを、小瓶に入れたジャムとともに届けてくれたのは、5月のある日に訪ねたB邸の奥さん。* 会社員のご主人と教員の奥さん。ともに仕事に忙しいBさん夫妻は、「(家での時間にも)五感を駆使して感じ、味わう楽しさ」を求め、家づくりを考え始めた。5年もの間依頼先を探し続ける中で出会ったのは、建築家・高野保光さんだった。「国会図書館で大量に借り出した住宅雑誌で繰り返し手が止まったのが、高野さんの作品でした」(奥さん)。「写真からも空間の心地よさがリアルに伝わってきました」(ご主人)。高野さんの設計事務所「遊空間設計室」を訪ねた時に案内してもらった自邸や数軒の住宅の見学で、作品の居心地を体験。家づくりに舵を切った。  こうして完成した住まい。東京都の住宅街にある間口の狭い敷地に建っている。玄関までは、門から斜め左に曲がって進む外露地、1外露地のジューンベリーを収穫する奥さん。 2外露地と内露地を隔てる門から玄関を見る。 3建物外観。つづら折りのように、段々と高く架かる屋根が特徴。 4赤く色づいたジューンベリー。少しずつ収穫し、冷凍したものを調理するのだそう。

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