住宅雑誌『チルチンびと』102号 -薪ストーブのやすらぎ・裸足と健康と木の家-
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29が流された。この音楽は自然の優しさを感じさせると同時に、何度聞いてもメロディが記憶に残らない不思議な音楽であるので、ホールのBGMや環境音楽として最適だといわれている。さらに、この音楽を聴きながら脳波を測定すると、リラックスする時によく見られるα波が発生することが観測された。 また私たちは、〝 1/f ゆらぎ〟の音楽を35KHz以上の高周波に変換して音楽を製作した。この音楽は耳には聞こえないが、この音楽が流されている部屋に入るとα波が発生することも確認された。私たちが聞いている通常のCDは20KHz以下の可聴周波数であるが、リラックスして聴いていただこうと、15KHz~20KHzのところに別の曲が挿入されている音楽も製作した。さらに、自然環境音(小川のせせらぎや海岸に打ち寄せる波の音など)を聴きながらクラシックのCDを聴くことができる、インテリアオーディオも製作した。 〝 1/f ゆらぎ〟の音楽を聴きながら、妻がコーヒーをカップに注ぐ、ブラックのまま舌の上で転がし、苦みと香りに安らぎを感じる。少し砂糖を入れてスプーンでかき混ぜると、砂糖がコーヒーの中でランダムに混ざる。ここでエントロピーが増大している宇宙の話をする。さらに、ミルクをカップに注ぐ。薄いミルクの場合は台風の渦のように、濃い場合は渦巻銀河がカップの中に形成される。そしてカップの中の宇宙をゆっくり飲む。太陽の恵みがぎゅーと詰まった薪ストーブの暖炉の〝 1/f ゆらぎ〟の炎を見ながら、私も自然の一員として生かされていることに感謝する。刈本博保 1/f ゆらぎ研究会代表幹事石川県金沢市出身。金沢大学大学院工学研究科修了後、松下電器産業㈱(現㈱パナソニック)入社。1989年から技術本部本部室にて 1/f ゆらぎ研究・商品化推進に携わる。2002年、㈱こんてんつを設立し、代表取締役に就任。内灘海岸で沈む夕日を見ている。太陽から水素の裸の原子H+(プロトン)が飛んできて、地球の磁場に捕えられて地上に落ちてくる。そのとき電磁波が出てくるのでそれを電波望遠鏡で捕捉し、可聴周波数に変換すると、小鳥が“ぴよぴよ” とさえずる音が聞こえる。波は “1/fゆらぎ” の法則にしたがって、大波・小波としてやってくる。私はその浜辺で妻と流木に腰掛けながら、赤い夕陽が “ジュッ” といって波間に沈んでいくのを耳を澄まして聴いている。

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