雑誌「チルチンびと」93号掲載 「京都大原の山里に暮らし始めて」梶山正
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48シアは以前ほど庭仕事ができなくなってきている。「自分でできることだけをやったらいいのに……」と僕は常々言うのに、彼女は庭仕事の規模を縮小しようとはしない。心が若いのか、目標が高いのか……。昨年からベニシアは400坪の空き地を借りて、ワイルドガーデンをつくるのだと言っている。僕に言わせれば超ワイルド過ぎるただの原野で、僕は一人で草刈りに追われている。上ばかり見ず、大原の柴漬けであっさりとお茶漬けでも食べたらいいのに……。これは彼女の性分なので、僕はおそらく一生草刈りから逃れられまい。それで昨日、新しい草刈り機を買った。甲高い2サイクルのエンジン音が妙に心地よく、僕はちょっと嬉しくなった。 ノリちゃんもベニシアの庭に駆り出される一人だ。大原朝市で花を売っていたフラワーデザイナーの彼女を見かけたのが、ベニシアとノリちゃんの出会いだ。週に2日ほど彼女は我が家の庭の手伝いに来てくれる。いま彼女の住む戸寺町では、交流の場ということでハーブ園がつくられており、ノリちゃんはそこの責任者もやっている。 それだけではない。ある日、近所の路傍に育つキンエノコログサをドライフラワーにしようと彼女は摘んで帰った。乾燥させてリースをつくってみたことがきっかけと上から時計回りに /野山や庭で集めた材料でクリスマスキャンドルをつくる。 /英国定番のクリスマスディナー。ローストターキー、ベイクドポテト、オレンジキャロット、芽キャベツとクリ。 /トラディショナル・フルーツケーキとクリスマス・クッキーを囲んで。 /トラディショナル・フルーツケーキは11月に焼いて寝かせておく。

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