「京都大原の山里に暮らし始めて」梶山正
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15Tadashi Kajiyama ハーブだけでなく、ハチミツが持つ効果も目を見張る。ハチミツは、ミツバチによりブドウ糖と果糖に分解された糖分80%の濃縮された栄養源である。人間の1日の基礎代謝量の20%は脳が消費するそうだ。その大飯喰らいの脳は、ブドウ糖だけを吸収する。つまりハチミツの糖分はすでにブドウ糖と果糖に分解されているので、体に入るとすぐに脳のエネルギー源になるわけだ。また、ハチミツは強力な殺菌効果を持ち、傷の治りを早め、傷跡を残りにくくさせる働きもある。 こういったハーブティーを飲み続けたおかげで、僕の脳は回復し、元気に仕事もできるようになった。ても、はっきりと答えられない。気が付いたときには、食べ物の味やにおいがわかるようになっていた。半年は過ぎていたと思う。どうやら性格は変わったようだが、脳の機能はかなり回復したと思う。柚子ティーとハイビスカス&ローズヒップティーばかり飲んで過ごした数カ月間だったが、後で調べてみるとそれらは僕の脳の治療のために最適な薬となっていたようだ。 柚子は飛鳥か奈良時代に中国から渡来した柑橘類だ。柑橘系の香りは人のストレスを和らげる力を持っている。抗菌消炎作用があり、痛みを緩和して血行を促進する働きもある。 ルビーのような鮮やかな色のハイビスカスは見た目だけでも美しい。ビタミンCとクエン酸を豊富に含み疲労回復を手伝い、代謝促進作用を持つ。美しさを保つためクレオパトラも利用したそうだ。 ローズヒップとはバラの果実のこと。鉄分や大量のビタミンCを含み、血液をサラサラにしてリラックス効果も高い。また、ハイビスカスとの相性もいい。家の前の畑では西洋ハーブだけでなく、紫蘇やネギなど日本のハーブも育てている。かじやま・ただし/1959年長崎県生まれ。写真家。山岳写真など、自然の風景を主なテーマに撮影している。登山ガイドブックほか共著多数。84年のヒマラヤ登山の後、自分の生き方を探すためにインドを放浪し、帰国後まもなく、本格的なインド料理レストラン「DiDi」を京都で始める。妻でハーブ研究家のベニシア・スタンリー・スミスさんとはレストランのお客として知り合い、92年に結婚した。

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