雑誌「チルチンびと」90号掲載 京都大原の山里に暮らし始めて 梶山正
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11左/クリスマス・ツリーの飾り付けに熱中する悠仁と浄。下2点/イギリスでは定番の伝統的なクリスマス・ディナー。トラディショナル・フルーツケーキを焼く。材料が詰まった重いケーキで味も濃厚。薄く切って少しずついただく。かつて、肉と果物入りポリッジだったものが、時代の流れとともにケーキやプディングに変化したという。喝采となる。1年の思い出など話しながら、楽しいクリスマスの夜が更けていく。* 通常、イエス・キリストは西暦元年12月25日に生まれたと言われている。ところが、新約聖書にキリストの降誕日(誕生日)に関する記述はなく、実際はBC8年〜AD6年と諸説ある。また、羊飼いが誕生を祝ったあと夜中の見張りに戻ったと記されているが、現地で羊の放牧が行われるのは4〜9月で、冬の寒い時期は小屋に入れて外に出さないので12月ではないだろうとも。 クリスマスが12月25日とされたのは、4世紀頃からのようだ。BC753年からAD1453年まで続いた古代ローマ帝国は、領土拡大の過程で周辺民族を取り込んでいく必要があった。 太陽神ミトラスを主神とする古代ローマのミトラ教の冬至の祭りは12月25日。また、古代ローマの農耕神サトゥルヌスの祭りであるサートゥルナーリア祭は12月17日〜23日である。また、古代ヨーロッパのゲルマン民族やヴァイキングの間で行われていた冬至の祭りユールも12月下旬の同じ時期に行われていた。古代ローマ帝国は領土を拡大し、かつ多民族をキリスト教化するために、クリスマスの日を定めたようだ。AD392年にはキリスト教を国教としている。多民族から反感を買わず、受け入れてもらいやすくするため、他宗教の祭りや冬至の日とクリスマスを同じ日としたのであろう。 ちょっと難しい話となった。ベニシアと暮らすようになってクリスマスを楽しむようになった僕は、その日を正月やお盆と同じように楽しいハレの日と受けとめている。

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