雑誌「チルチンびと」 脱原発のために私たちができること「ドイツ、スイスに学ぶ脱原発都市の実践」
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197 フライブルク市のクラインガルテン 都市生活者が楽しむ市民農園の、環境にやさしいルールとは 4  ドイツで200年の歴史を持つクライン ガルテンは、市とクラインガルテン協会が 管理運営をする家族向け賃貸農園。これは 国によって制度化されていて、手軽なレク リエーションとして多くの市民に親しま れ、現在はドイツだけでなくヨーロッパ中 に広がりを見せている。  土地柄によってそのスタイルに違いがあ るものの、管理者も利用者もクラインガル テン協会のメンバーであり、皆が気持ちよ く利用するためのルールが定められている のが、クラインガルテンの特徴といえる。 都心部にある市民農園  フライブルク市のクラインガルテンは農 村地帯にあるのではなく都心部、主にフラ イブルク中央駅沿線にある。  都市生活者が車を利用せずに行ける立 地、市内の緑化推進、地域交流など、市の 中心部にあることで独自にその機能を発展 させている。多くの市民は持ち家にそのス ペースがないことから、クラインガルテン の利用を希望する人が多い。  市内には合計3800区画、9600ヘ クタールのクラインガルテンがある。その 80 %が賃借契約を無期限に更新できるタイ プで、 12 の地域クラブによって運営されて いる。そのほかには1年ごとに更新するタ イプやドイツ鉄道が運営するものがある。  利用希望者は市の担当窓口か、各クラ インガルテンクラブのリーダーに申し込 む。リーダーは全体の管理だけでなく、月 に1度共同でする作業や草木の刈り込みの 実施、利用者同士の交流などを図るボラン ティアで、利用者の交代時に区画を整理し 引き継ぐ責任者でもある。  フライブルクのクラインガルテンは環境 保護や土地利用政策などの市政を兼ねてい ることや利用者の努力により、賃貸料は1 区画200平方メートルの場合年間 32 ユー ロと低く抑えられている。 環境に配慮したルール  各区画内には、ラウベと呼ばれる休憩兼 道具小屋を設置することができる(宿泊は 認められない)。  取り決めにより、設置面積は 22 平方メー トル、高さ2・85メートル、屋根の張り 出しは 30 センチ以内となっている。屋根の 色は暗色か緑色で、タイルなどの高価な材 質は使用できない。  電灯をつけるためのソーラーパネル設置 は80 ワットまで許されているが、ドイツの 春夏は夜 10 時頃まで明るいので電灯なしで 十分作業ができる。トイレや上下水道はな く、各自キャンピング用トイレを利用し、 クラブの共同排水所に持って行く必要があ る。地下水汚染を防ぐため、作業で出た排 水も地面に流さずここへ持って行き、肥料 などもなるべく化学的なものを使わないこ と、ゴミはすべて持ち帰る必要がある。  散水は徹底した雨水利用で、共同の貯水 所から運ぶ。その際、手動ポンプは使うこ とが許されているが、電動は禁止である。 個性的な小屋の並ぶ、フライブルク市のク ラインガルテン。

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