雑誌「チルチンびと」 脱原発のために私たちができること「ドイツ、スイスに学ぶ脱原発都市の実践」
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ドイツ流・エコ電力へのエネルギーシフト
脱原発を実行した地方都市・シェーナウの市民による電力会社
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ここで、ドイツにおいて脱原発を実行し
た小さな地方自治体の例を紹介する。
シェーナウ電力(EWS)は、ドイツ
南西部に位置するシェーナウ町(人口
2500)に、太陽光や水力、天然ガスな
どによる電力だけを扱う民主的電力組合と
して創立された。チェルノブイリ原発事故
(1986)による被害を危惧した親の会
による、
10
年にも及ぶ市民運動を経て(徹
底した節電で地域にとって原発由来の電力
EWS(Elektrizitatswerke Schonau)公式HP
http://www.ews-schoenau.de/
が不要であることを証明し、さらに町議会
での住民投票に勝利し、既存の電力会社と
の解約を成功させた)、1997年からは
この地域の電力供給を公的に担っている。
EWSは、原子力発電や石油、石炭によ
る電力をいっさい扱わないばかりか、利益
の最大化をめざしていない。料金の一部を
太陽光パネルや熱電併給システムの設備投
資費用として顧客に還元し、それらで発電
した電力を買い取るという事業にも力を入
れている。
1998年にEU電力市場が自由化され
たことや、東日本大震災による原発事故が
世論に強く影響し、現在の契約数はドイツ
全土で
13
万世帯にも上る。
EWS代表は2011年米ゴールドマン
環境賞を受賞、今年4月にはドイツ・バー
デン=ヴェルテンベルク州首相から、市民
主体の環境保護事業を促進した業績で功労
賞を得ている。
上/森に囲まれた古い家並み。中央奥に写る教会の屋
根にもソーラーパネルが。 中/ EWS 社屋。自然光
を取り入れる波型の屋根で省エネ、ソーラーパネルで
発電している。 下/シェーナウの住民運動を牽引し
たスラーデックさんご夫妻。
資料請求番号7318
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