雑誌「チルチンびと」 パッシブでアクティブな暮らし
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きたことなどにより、他のエネルギーから 電力にシフトしていることによると考えら れる。 ●2008年における電力消費の内訳は、 冷房が4・3%、動力・照明ほかが 71 ・ 7%であり、残りの 24 ・0%が暖房・給湯・ 厨房用途に消費される電力である。  次に、電力消費のピークについて考え ます。東京電力のホームページによると 2010年の電灯分(主に家庭等の小口 契約)の月別販売電力量は図4のように なります。販売電力量が最も多い月は1 月で108・5億kWh、次いで9月が 101・9億kWhであり、一方最も少 ない月が6月で 61 ・3億kWh、次いで 10 月が 71 ・4億kWhとなっています。 つまり、販売電力量が少ない5~7月、お よび 10 ~ 12 月に対し、1~4月は暖房需要 によって、8・9月は冷房需要によって電 力量が押し上げられ、特に1月と9月に ピークとなることがわかります。  さらに、夏の家庭部門全体の時間帯別電 力需要を詳しく見たのが図5、図6です。 業務用・産業用もあわせた一日のピーク となる 14 時頃はエアコン(冷房)が 47 %、 冷蔵庫が 20 %、テレビと照明がそれぞれ 4%でこれら上位4用途で 75 %を占めま す。また家庭部門のピークとなる20 時は エアコン 37 %、冷蔵庫 15 %、テレビ8%、 照明 12 %と構成比は変わりますが上位4 用途でやはり 72 %を占めています。 パッシブ住宅の役割  住宅の省エネ性能を向上させる議論は、 1970年代の2度のオイルショックを 契機とした、エネルギー資源の安定的確保 のためエネルギーの使用を合理化するとい う観点から始まり、1990年代以降は 地球温暖化防止のためCO2排出量を削減 するという観点が加わりました。そして 2011年3月以降は電力の供給と需要 における安全性・安定性確保のため電源構 成や供給システム、消費の在り方の観点が 新たに求められるようになりました。  そのため、前項までに見てきた現在の電 力問題に対して、電力消費の3割を占める 家庭では次のような対策が必要です。 ●家庭部門における省エネの徹底。 ●特に夏期および冬期のピークにおける消 費量を削減することが重要。 ●そのためには、暖冷房負荷のいっそうの 削減、機器の効率化、自然エネルギー・再 生可能エネルギーの最大限の活用、自家発 電電力の導入などが必要。 ●その結果として電力の送電ロスの削減が 期待される。  これらはまさに「パッシブ住宅」のコン セプトと一致します。パッシブ住宅は、太 陽や風など自然エネルギーを有効に活用し ながら、心地よい居住環境を実現するため の「パッシブ・デザイン」に基づいた住宅 です。大規模な電力供給網において自然エ ネルギー・再生可能エネルギーの比率を高 めることは課題も多く、中長期的に取り組 む必要がありますが、住宅スケールであれ 図1 世帯当たりのエネルギー源別消費量 図3 世帯当たりの用途別エネルギー消費比率 ■ 電気  ■ 都市ガス  ■ LPG  ■ 灯油  ■ 石炭  ■ 太陽熱他     (MJ/ 世帯・年) 0 5,000 10,000 15,000 20,000(MJ) 電力消費量 暖房・給湯・厨房 内訳24.0% 冷房 4.3% 動力・照明他 71.7% ■ 冷房  ■ 暖房  ■ 給湯  ■ 厨房  ■ 動力・照明他     (MJ/ 世帯・年) 図4 2010 年の東京電力における月別販売電力量(電灯分) 図2 世帯当たりの用途別エネルギー消費量 図5 ピーク時電力需要構成図6 家庭部門全体の時間帯別 電力需要(機器別) 出典:資源エネルギー庁「夏期最大電力使用日の需要構造推計(東京電力管内)」 期 期 14 時20時

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