雑誌「チルチンびと」 パッシブでアクティブな暮らし
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ダイレクトゲイン併用で水に熱をためる床暖房 ●アクアレイヤーシステム http://www.izena.co.jp  熱容量(物体の温度を1℃上げるのに必要 な熱量)が大きく(同じ重さではコンクリー トの5倍)、また対流によって自然に熱が伝 わっていく性質を持つ水を利用した、アクア レイヤーシステムという床暖房がある。  アクアセルと名付けられた、アルミを挟み 込んだ4層ラミネート材の袋に水を入れ、床 下の根太と根太の間に設置し、熱源をアクア セルに接触させて、温めた内部の水が自然に 対流し、ゆっくり放熱することで、アクアセ ル上部の床をくまなく温める仕組みになって いる。  直接床を温めるため、温水は 25 ~ 35 ℃とい う体温より低い温度で済み、しかも熱が自然 に分散されて特定の箇所に集まらないため、 床に直接座っていても、お尻が熱くなること もなく低温やけどの心配がない。  熱源は、工夫次第でさまざまな種類を利用 することができる。  電気シートヒーターを熱源とするタイプ は、仕組みがシンプルで施工が容易。音が出 ないのが特徴。安価な深夜電力を利用すれば、 電気代を節約できる。  電気を使うタイプとしては、エアコンと同 じヒートポンプタイプがあり深夜電力を利用 すればランニングコストがさらに安く、また 灯油やガスを使うボイラータイプもある。  太陽熱を熱源にするダイレクトゲイン方式 にすれば、電力や燃料に頼らない、パッシブ システムとして使うことができる。  従来、太陽熱で床を温め蓄熱させるダイレ クトゲイン方式は、コンクリート床を蓄熱体 とすることがほとんどで、木造住宅の、特に 2階床でこの方式を採用することは難しいと 思われてきた。しかしアクアレイヤーなら、 それも可能となる。  アクアレイヤーのメーカー・イゼナは、太 陽熱をより効率的に利用するため、熱伝導率 の高いアルミによる床材を開発した。  ヒートリックスと名付けられたアルミ床材 は、夏季にも威力を発揮する。  緑のカーテンや日除け用の布で夏季のダイ レクトゲインを防げば、この床材が体の熱を 吸い取ってくれるため快適に過ごすことがで きる。イゼナが2010年に建てたモデルハ ウスの実測結果によって、7月の晴天時でも、 外気温や室温よりもアルミ床材および水温が 低い数字を維持することがわかっている。  水を入れるためのアクアセル アルミ床材「ヒートリックス」 イゼナのモデルハウスにおいて 7月3日(晴天)に実測した各温度 アクアレイヤーを使ったダイレクトゲインのために開発されたアルミ床材の仕組み イゼナのモデルハウス「イゼナ版エコ住宅」 アルミ根太 アルミ床材 アクアセル アルミパイプホルダー アクアレイヤーを利用したダイレクトゲインの 仕組み 温度 外気温32.2℃ 室温30.8℃ 湿度65.0% アクアセル水温26.7℃ ヒートリックス床面温度28.4℃ 無垢フローリング(栗材)床面温度29.2℃ 開口部開放

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