雑誌「チルチンびと」 緑の置屋根の下省エネルギーで豊かに暮らす
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さを満たすという考え方で 〝生活に 根づいたデザイン〟の家をつくって いる。  今回の震災後、嬬恋では計画停電 が行われたが、不便はなかった。電 気がなくなる心配で大騒ぎしている 都会の暮らしとは大違いだ。安田さ んは、震災にあった方々、そして原 発事故で住む場所を奪われた方々に 深い悲しみを寄せた上で語る。「日 本人はこの 50 年、暮らしの伝統を離 れ、モノに依存する生活に慣れてし まった。たとえば、掃除機をやめて 雑巾と箒で済む家に住むとか、電気 なし、原発なしの暮らしを選んでも 代替手段はあるんだよ。昔はそれで 大丈夫だったんだから。それに、そ ういう暮らしのほうが豊かだよ」  夏は太陽とともに目覚め、図面を 引き、ときに畑を耕す。午後はハイ キングに出かけ、冬に備えて薪を割 り、夕飯の支度をする。こうした暮 らしをしていると、1日を2倍過ご しているようだと安田さんは言う。 「豊かってどういうことなのか?  一人ひとり、自分で具現化すること が大切。僕はその一人なんだ」。薪 割りの斧を置き、額の汗を拭いなが ら、安田さんは笑った。 間接照明を主とした落ち着いた室内から、周囲の緑を見る。中央右に見えるテーブル は、冬には豆炭式行火(あんか)を取り付ける炬燵になる。 3点/室内の自然なしつ らえ。保存食も安田さん の手になる。

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