建築家と造る木の家 設計◆大野 正博
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64今の家づくりのエッセンスともなっている。 Mさん夫妻が大野さんに設計を依頼したのも、そんな思想に惹かれてのこと。一人暮らしのときは、まわりとつながりをもたないマンション暮らしが気楽だったという奥さん。しかし生まれ育った松山を離れてご主人と転勤を重ね、見知らぬ土地で出産をしたら、「子育てとはこれほど孤独なものなのか、と。私を小さい頃から知ってくれている人たちを身近に感じながら、子どもを育てたいと思ったんです」と帰松。 しばらく市内でマンション暮らしをしていたが、「家の中を走り回っても、下の階が気になって。子どもは当たり前のことをしているだけなのに、注意しなきゃいけないのが辛かった」と一戸建てを考え始め、大野さんの存在を知った。ぐるぐる回る。ずんずん登る。意味なんてない。ただ、無性に楽しいのだ階段と吹き抜けが、家をジャングルジムにする吹き抜けには透明のアクリルを嵌めて開放的に。上がって踊り場に出て、直角に曲がって、そしてまた踊り場に……と、ぐるぐる回れる階段。ふつうに2階に行くはずが、いつの間にか、追っかけっこになる。玄関土間には、念願の薪ストーブとピアノを。ストーブは炎がよく見えるヨツールF163。

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