住宅雑誌「チルチンびと」71号掲載 設計 大野 正博
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のですが、それでは自分たちの枠か ら出られないな、と」とご主人。  そんな思いを抱えて住宅雑誌を読 んでいたところ、大野さんの作品と 出会った。それは今の家と同じく、 中庭を囲んだ二世帯の家。同じ頃、 インターネットで建築家との相性診 断ゲームをやってみると、ベスト マッチに挙がったのが大野さんだっ たのだ。「朝起きたら夫が急に『大 野さんしかいない!』って(笑)」と 奥さん。「一生に一度の家なんです。 もっと家に期待したかった」とご主 人も笑う。かくして始まった家づく りでは、自分たちのイメージが大野 さんの中で変換されて、期待以上に なる過程が楽しかったと言う。  竣工から1年、この家に住んで、 暮らしは劇的に面白くなった。屋上 の物見台からは港の花火大会を見た。 キッチンから子どもが遊んでいるの を見守れるのもいい。リビングから 庭を眺め、四季を感じるのは格別 だ。この庭は、お母さんの居室から もよく見えるようになっている。「二 世帯が気兼ねなく暮らせる間取りで、 孫の遊ぶ姿を見ているだけで幸せで す。本当にいい家なんですよ」とお 母さんは笑う。 密集した住宅地に建つ山口邸の南側外観。2階デッキ。こちらにもベンチとテーブルがある。 屋根の上の物見台。「リーズナブ ルにつくれて、あればとても楽し い」と大野さん。  

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