住宅雑誌「チルチンびと」73号掲載 設計 落合 雄二
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落合さん。まずイメージしたのは、 リビングの前の大きなデッキだ。 「最初はもっと広かったんです。 でも工事中に見たら庭が狭く感じ て、小さくしてもらうことに」と ご主人。奥さんは「竣工当時はま だ子どもも小学生。このデッキで は友だちと花火やスイカ割りを楽 しみましたね」と思い出に浸る。 家ができてから暮らしは庭中心 に。休日もわざわざ外に出かけな くなり、晴れた日はデッキでのラ ンチで屋外レストラン気分を満喫。 夜には星を眺めたりと、家族でふ れあう機会も増えた。 今回庭を手がけたのは造園家の 栗田信三さん。「緑があってこそ 家も引き立つ」という落合さんと は長年ともに仕事をしてきた仲だ。 庭づくりにあたり栗田さんは、 南北の庭それぞれを、異なる雰囲 気でデザインした。 まず、道路に面した北側の庭は、 水平のラインが強い横長の建物に 対し、その表情をやわらげるよう に植栽を施した。「建築に対して 最後の仕上げをしているつもり」 と話す栗田さんならではの感覚だ。 対してリビングに面した南側の 庭は、広い空と鎌倉の山が庭と一 左上から時計回りに /晴れた日はデッキでお茶をするのが楽しみ。 /ダイニングからリビングを見る。LDK の入口をはじめ、ほとんどの建具は引戸。そのため部屋に籠 ることなく家族の様子が察し合える。「子育ての面でも大正解」と奥さんは振り返る。 /奥さんが生けた庭のアジサイの葉。 /年月の流れが刻まれた、味わい深い表情の 床。抜け節加工は床と同じ檜で。 /リビングからデッキは段差がないのでひとつながりに見え、外への広がりを感じさせる。 時間が育てる庭

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