『建築家と造る木の家』チルチンびと 91号掲載
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93家の雰囲気をつくる小物たち。新居のために制作したもの、選んだもの。思いが宿るから、いっそう暮らしが楽しくなる。 東京都内のとある住宅地、家々が建ち並ぶ細い通り沿いにH邸は建っている。「敷地は約17坪。松本さんには無理を言いましたが、やりたいことを全部叶えてもらいました」とH夫妻は語る。 東京の真ん中でも大好きな京町家のような風情が欲しい、プライバシーも確保したい、好きな小物や骨董を飾りたい、和は好きだが家全体が数寄屋風では暮らしにくい……。そんな夫妻の思いを、松本直子さんは一つひとつ汲み取っていき、「コンパクトな中にさまざまな愉しみや意匠が詰まった、宝石箱のような家になりました」と振り返る。 モンドリアンの絵画のように幾何学的にデザインされた鉄の門扉を開け、洗い出しの階段を数段下りていくと、白く明るい玄関が。壁にはニッチを設け、奥さんが好きな小物をあしらっている。ステンドグラス右上から時計回りに /水道管をモチーフにしたイギリス製の帽子掛け。 /好きな小物や季節の花を飾れる玄関のニッチ。 /トイレの小窓は東京・谷中でステンドグラス制作をする女性二人「nido」に依頼。 /玄関の照明も「nido」による。

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