住宅雑誌「チルチンびと」84号掲載 設計 松本直子
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40 「セルロースファイバーを使って、夏涼しくて冬暖かい家を建ててほしい」―。断熱材の希望から始まったMさんの家づくり。建て替えの依頼を受けた建築家の松本直子さんは、当時を振り返って「変わってますよね、最初から断熱材が話に出るなんて(笑)。それだけMさんが温熱環境について調べていて、関心が強いのだと思いました」と話す。 場所は柏市の緑豊かな分譲住宅地。Mさんはこの地に四半世紀ほど前から住む。建売だった以前の家では冬は底冷え、夏は日中の日差しが強すぎて雨戸を閉め切っていた部屋もあった。その上、結露にも悩まされていたという。「冬は朝起きると外と変わらないくらい凍えるように寒くて。とにかく暖かい家をお願いしますと伝えました」(Mさん)。セルロースファイバーを希望したのは、新築したご近所の家を訪ねて、その良さを実感したためでもある。 松本さんとMさんを結びつけたのは同居している息子さん。前から好きな建築家である松本さんをすすめた。時とともに風合いを帯びるような木の家を求めていたMさん自身も、木製建具、左官職の塗り壁、風が通上:松本直子さんの住宅ではおなじみの混合板張り壁。今回はブラックウォ―ルナット、クルミ、トチ、ホオノキを使用。 下:建具を引き込めばキッチンまでひと続きに。風と太陽のリズムが暮らしを満たしていく

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