建築家と造る木の家 設計◆加藤武志
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床座の小さな平屋で    庭暮らしを満喫かねてより、家を建てるなら「風が抜け、気持ちよく暮らせる木の家を建てたい」という思いを募らせていた夫妻。落ち着いた佇まいと、シンプルで長く住んでも飽きないデザインを求めて訪ねたのは、建築家の加藤武志さんだった。夏涼しく冬暖かく、素朴な暮らしが営める小さな家をという夫妻の要望を受け、加藤さんは「深い森の中に家が見えるようなストーリー」を描いたという。間取りは必要最小限。飼い猫2匹のための部屋をコアにし、そのまわりをLDK、書斎コーナー、寝室、水まわりが囲む。庭については、のちのち自分たちでつくりやすいようにと、日当たりや道路との関係から、畑と雑木林を植える場所を想定して家の位置を決めた。そして庭を身近に感じて暮らせるよう、リビングの窓は南に向かって開き、畑にも出ていきやすい位置にデッキを設けた。また、地面に近い生活ができるように、床座で目線を低くしたのも特徴だ。床は徳島産の杉の赤身の材。素足で歩きたく

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