建築家と造る木の家 設計◆加藤武志
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46「ほら、たくさんできたよ!」と、デッキでパンづくりに夢中の子どもたち。「上手にできたね」「それは何の形?」と室内からお母さんたちが微笑みかける。笑い声に時折泣き声、心地よい賑やかさに満ちたOさんのリビング。大人4人と子ども5人の総勢9人で、今日も家カフェがスタートした。カフェといっても、用意するのも食べるのも自分たち。美味しい料理を大人も子どもも一緒になってつくりあげる、とびきりの時間が始まる。リビングの先にある小さなデッキは子どもたちの特等席。青空の下でのごはんは格別なのだ。 泣く子がいれば抱っこをして慰める、手洗いにも連れていけば、着替えも手伝う―。ウチの子もヨソの子も関係ない。まわりの誰かが自然と動く。そんな光景をほがらかな笑顔でOさんは見つめる。 この日集まったのは、職場のつながりで知り合った友人とその子どもたち。「子育てはどうしても孤独になりがち。そんな中、同じ年頃の子どもをもつ仲間と集まって話をしていると、本当に心強くて。子育てについてだけでなく復帰してからの不安や悩みも、分かち合えるのは同世代の友人だからなんです」とOさん。 子どもが生まれてからというもの、友人を自宅に招く機トップライトからの光で、1日を通して明るく気持ちがよいキッチン。上部に収納はつくらず、空間ののびやかさを優先した。壁際の作業台兼収納は、パンづくりもしやすい低めの高さに。上から /階段まわりの壁は薄くし、有効幅を極力とった。 /階段は引き出しになっている。小さな子どもとの暮らしでも物が溢れていないのは、こうした収納が随所にあるから。 /洗面室と浴室。壁と天井にはサワラを使用。

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